舞姫の滝

[山行日]　２００３年２月２２，２３日

[参加メンバー]

ＥＭＩ　きし　くるよん　にゃんちゅう

戸台の林道を白岩堰堤までテラノでＧＯ！

アスファルトから、ダートな林道

エキストリーム・セクションを越えて川原の林道

沢と化した林道を水しぶきを上げて走るテラノ・・

そして、雪原の様なの川原路を行く・・

久しぶりのＯＲＶ（オフ・ロード・ヴィークル）

なんだか、テラノも生き生きしている様！

更に、２時間の雪ハイクで丹渓山荘のベースに到着

今夜もステラ６

小高い尾根の中腹にひっそりと建つ丹渓山荘

今は閉業・・もはや、訪れ人もなく、朽ち果てていく運命

雪から雨・・また雪・・明日の天気は？

氷は？・・・

こんばんわ。

この週末、南ア・戸台川舞姫にてアイスデビューをしたくるよんです。

にゃんさん、えみさん、きしちゃん、お疲れ様でした。

いろいろとアドバイスをいただきましてありがとうございました。

この冬から冬山を始めて、先週まで、アイスなんてとんでもございません、別世界でございます、と思っていたのですが、なぜかこんなことに・・・

土曜日は、岸ちゃん邸を探して早くも八王子遭難。高遠の、ＫＭ兄さんお勧めの”ケルン”の向かいの”入野屋”でお蕎麦・きのこ・鹿刺しを食べてから、戸台駐車場先の発電所前まで、にゃんちゅう号は進みます。（ジープのみが入れる世界、まるでパリダガみたいな・・・）お陰で約一時間のショートカットができました。何せ、ゲレンデクライミングをほんの数回やったことがあるだけで、ロープやギア類を持って歩くのも初めての経験、病的に汗をかいてしまい、親切な岸ちゃんが付き合ってゆっくりと歩いてくれたのが、ホントありがたかったです。丹渓山荘前着４:３０。もう遅いので、予定のアイス・レクチャー入門編は割愛。内心、エエェ～、ドボジジョウ～、ダジゲデグデ～～。夜はテントに雨が当たったりして、翌日の天気が心配で、緊張のせいか？頭痛もひどかった。

４時起床、のはすが、６時になってしまい、８時半テント発。ガスった曇りに、小雪がちらりちらり。赤川原分岐からトレースに沿って戸台川に向かい、１０分ほどのアプローチで左手に舞姫の滝発見。生の凍った滝を始めて見たのでそれはもうびっくり。滝って、あんなに凍るんですね、あ然として固まる・くるよんでした。師・にゃんちゅうさんよりチロリと登り方のご指導有り。（その１）手首のスナップを利かせて頭の上いっぱいに打ち込む、（その２）足はまっすぐに蹴り込み、踵を下げる。

さて、数回バイルを打ち込む練習をして、”まぁ、登ってみてよ”と、先行するえみきし組に続き、Ｆ１登高開始。そういえばクライミングは７ヶ月ぶりなのでした。下部４メートルのゆるい傾斜を登ってから、4ｍ位のバーチカル。スクリュー回収しているたらもうパンプしそう。打ったバイルにクイックドローを掛けてレストなんて、怖くってできそうにない。バイルはとりあえず入るが、足が決まらない。ああぁ～これがアイスなのね～。Ｆ２からアンザイレンでやや巻きして、ガリーを約100ｍ位登ると、美しい舞姫様Ｆ３（35ｍ）のお出まし。華麗でその名に相応しいお姿です。写真以上の美しさですよん。氷の状態は、すみません正確に表現できません、が、基部の小洞窟から水がごぼごぼと流れる音がしました。アイス初リードの張り切りきしちゃんは左のコオリを、王者の風格のにゃんちゃんは右のコオリへ。にゃんくる組は、テラスまで5ｍ位上がった場所に支点をセットし、にゃん師が登攀開始。最初の7ｍくらいの垂直を超えて、二つ目のスクリューをセット、やや左にトラバースしてから、核心のバーチへ。王者は余裕のよっちゃんなのでしょう、途中で長らく写真撮影をされていました。続いて、入門者くるよんがTRで挑戦。最初から落ちまくり、トラバースしたら怖くて足をガタガタ震えた。核心部に来ると、師の”踵を下げろ”、”もっと下げろ”、”ロープを打ったら死ぬじょー”と、やさしいゲキに励まされ、ロープに引っ張りあげられるように核心を越えたら、左コースのきしちゃんのお姿が。ああぁ～怖かった・・・。ロープの流れが悪かったので、にゃん様がセットし直しにヒョイヒョイと登る。そしてにゃん様３度目の登攀は、中央部の、下部に氷の無いフォートジェニックなツララの集合体ルートを狙って、お見事につるりと完登！なんともさすがで、うっとり。（きしえみ組の模様は、アイス開眼のきしちゃんから報告がありますので、どうぞお楽しみに！）

気づいたら、早くも１時を回っていたので、左右のルートを換っこするのを諦めて下ることにする。F1下部に１時半過ぎ着。赤川原のテントを撤収して下山開始。途中、戸台川を渡渉するときに深みにはまったら、ザックが重く起き上がれなくなり、しばらく横たわっていたら、３人が視界から消えた・・・しくしく。４時半発電所発。

さあ、最後のお楽しみのお風呂とおそばに突入です。桜の湯のあと、ケルンは夜は居酒屋さんになっていたので、入野屋アゲイン。日本酒はぜんぜん飲めないのに、あまりみんながおいしそうに日本酒を飲むので、つられて飲んだら、すっかり酔っ払った。。。すっすみません、新参者がこんなことに。

えみさんが桜の湯の露天風呂で言っていた、”初めてアイスを舞姫でやるなんて、ラッキーだよ”、というのは、今はまだよくわかりませんが、もっといろいろ行く機会があれば、そのうちにどんなに恵まれていたのかが分るのかもしれないですね。ちなみに、今回ははじける余裕はなかったなぁ～、もっと、味わって登ってくれば良かったなぁ～、などと終わってしまえば調子よく思うのです。機会があったら、今度は足を決められるように練習したいと思います。

以上、アイス初体験のくるよんレポートでした。

では続いて、きしちゃんの初リード版へバトンタッチです

それでは開眼して本格的なヴァーチカルアイスのリードに挑戦した　　
きしちゃんからの報告です。

いよいよF3舞姫の滝（Ⅴ級）25ｍが現れた。おお、これはすごい！一同感嘆の声をあげる。
見事に凍っていてまさに姫が舞っているよう。右側が少し長く、その左側はつららとなっている。
左側も右半分は氷柱の集合体で左側よりも若干やさしいか。

ここでにゃん、きしがリードクライミングを宣言。にゃんが右側、きしが左側をリードし、
トップロープをかけることで話がまとまった。

きし、自分のスクリュー3本とにゃんの旧型スクリュー2本をハーネスにつけ、
右半分氷柱群と左半分ナチュラルの間に立ち登攀開始した。
1本目のスクリューを氷柱群側にセットしようとしたが、氷は非常にもろく触っただけで
氷柱が落ちたので、すぐナチュラルな方に旧型スクリューをセットし直す。
ところがこのスクリューとても使いづらく、ハンガー部分がくるくると回ってしまい、
スクリュー部分が入っていかない。にゃんちゅうさんに対処法を聞き、ようやくセットする。
この間にかなり消耗していまった。こんな状態でこの立ちはだかる壁を
登れるのか？

2本目のスクリューをセットすべき所まで来て、フィフィーをかけてレストをしようとするが、
リストループが動いてしまい、フィフィーがなかなかかからない。ようやくフィフィーをかけて
レスト。2本目のスクリューを今度は自分のをセットし、安心する。
しかしこの時点でかなり両腕は消耗し、この先がなかなか上がらない。
すぐまたレストをして両腕をだら～り、ふりふり。両足も休めて、全身の力を抜いた。

とそのときアクシデントがおきた。すぐ下にプロテクションがある安心感から荷重を真下でなく
ナナメ下方向にかけすぎ、バイルが抜けた！！バイルはそのまま頭の上を放物線を描きながら
下に落ちていき、なんとビレイ中のEMIさんの頭を直撃しそうになった！
『ああそうでしたね。あのとききしちゃんのバイルが、
わたしの頭にささりそうになってね．．．．．』
自分の体がどういうふうに落ちたのかはまったく覚えていない。落ちたのか？
それとも垂直の氷壁にしがみついたのか？
あとで冷静になって思い出そうとしてもまったく思い出せない．．．．．．

バイルを回収するために一度ロワーダウン。再度上がったところまで登るが、精神的にかなり
動揺し、力が入らない。両腕もさらに消耗し、バイルに力が入らない。ロープテンション
まで入れてまた登り始めたところ、またまたアクシデント発生。
自分で落とした氷塊が鼻上部を直撃し、鼻血が出る。くそっ！

残ったまともなスクリューは2本のみ。今度落ちたらあのスクリューは抜けるかもしれない。
ああ足元にスクリューが見えるが、ここは1本使ったほうがいいだろう。
上はよく見えないが何とか足りるだろう．．．．少し左にトラバースしようと思ったが、
左のほうも意外と氷質がよくない。しかし、真上は立っているし、右は長すぎて腕が持たない。
やはり左だ！何回かレストを入れながら攀じり、4本目のスクリューをセットする。
だけど本当にもうだめだ。降参して下りるか？
しかしEMIさんの「きしちゃん、がんばってぇ～」の声を聞き、最後の力を振り絞る。
最後は左の岩にしがみつくように上がった。

がしかし思ったよりまだ壁はねておらず、セルフをとれそうな木に行くには右にきわどい
トラバースをしなくてはいけない！足がすくみ1歩が出ない！がなんとかランナウト状態でトラバースする。もう少しだ。
腕をめいっぱいに伸ばしてようやくシュリンゲを木に巻きつけた。
足場がとれる平らなところが少し下がった崖の上しかないので5ｍシュリンゲをめいっぱいに伸ばし、
セルフをとった後、アイゼンを蹴りこみ平らなところを広げて整地した。そしてEMIさんのビレイに入った．．．．．．．。

以上、アイス海岸きしちゃんレポートでした。
では続いて、ＥＭＩちゃん♀＊にゃんちゃん♂へバトンタッチです。